ところが頭の曲をかけてみると、なぜかウェスト・コーストみたいな曲を延々とやってらして、 (ノ∇`)アチャーと思ったのもつかの間、本領発揮は二つ目の曲からで、シタールのちょっとしたイントロから、歌ありボサノヴァ風に展開するという「take off your clothes to feel the setting sun」という曲。実はこれはいわゆるレア・グルーヴと呼ばれDJがアレコレ頑張っていた頃にちょっと知られた曲だそうで、危うく流行り廃りの早い世界で葬り去られるところだったのですが、他のアルバム曲が更に優れていたおかげで今でも本作はちょっとした人気を堅持しているんじゃないかと思います。
どの曲にも言えることですが、ハードバップみたいにテクニックをさらけ出すようなところが一切ないアルバムで、当時で言えば一時代前のオーソドックスなジャズを基調にしているのかもしれません。演奏もノリも派手なところがなく、どこまでも素っ気ない演奏陣の方々…。中東圏風呪術的な4曲目「come on in on in」でハードロックぽくなり、これだけは可視的にダーティな世界を演出。この辺りを聴くとまったくジャズアルバムという感じがしなくなります…。
で、ラストナンバーがなんとビートルズ「a day in the life」のカバーで、これまた力が抜けきった演奏。あの何もかもが印象的な人気曲を、素っ気なく、なのに陰の部分が表にしっかり出ているところが面白いカバー。このカバーにダウナーの本作でのテーマが分かりやすく表れているように感じた、というお話でした。