Jobriath「Jobriath」(1973)→曲目は
コチラあまりに肥大化しすぎ、そのアイデンティティをわずかな時間の間に失ったグラム・ロックというムーブメント…あの時代に盛んに言われていた「キャンプ」という表現の定義は曖昧なものですが、この
ジョブライアスほどキャンプという言葉が似合うアーティストもなかなかいないのではないでしょうか…というよりも、彼自身がキャンプを意識した音楽活動をしていたような気がします。
ジョブライアスはアメリカ人でエレクトラの大きな期待を背負ってデビューしましたが、彼の退廃的なムードはアメリカではなくイギリスで人気を得たそうです。
モリッシーは当時から彼の大ファンで、ジョブライアスのコンピレーションアルバムを作るのにも一役買ったのは有名な話。
何が基準なのか分かりませんが、彼はロック・ミュージシャンでは初めて自分が同性愛者であることを公言した人物だと言われています。グラム・ロックのファッションがユニセックスを意識していたのはもちろんですが、それはいつからか派手さや異端ぶりといったものにとって代わられ、ファッションの持つ本来性が薄れてきました。 そうしたファッションを、自身の音楽スタイルを前提として着ていた人物といえば、自分は宇宙人だと宣言した
デヴィッド・ボウイで、それが一部熱烈なファンには本当にボウイが宇宙人だと信じ込ませるのに成功したわけですが、ジョブライアスの場合、彼がゲイであると宣言したうえでのユニセックス的なファッションをしていたわけで、それはある意味宇宙人よりもずっと恐ろしい、なにせリアリティがありすぎて目を逸らしてしまうような、そうした存在だったのかもしれません。
彼はわずか二枚のアルバムを残して表舞台から消えてしまい、80年代前半、小さなアパートで死体となって発見されたそうです。彼はエイズが元で亡くなったそうで、恐らくエイズで亡くなったロック・ミュージシャンとしても最初の人物になってしまいました…。
演劇性、エキゾチック、胡散臭さ、退廃、ピエロの仮面…高尚なグラムロックが持とうとしていたはずの本来性が、彼の作品には溢れている、そんな気がします。

ジャケットの見開き。下半身が朽ちている様子は、彼がエイズに罹り免疫を失っていったことを想像すると、不気味なものがある。


フランス盤のレーベル面。STERLING。フランスではバークレイから出ていたようです。
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