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オーソドックスの陰翳 Wolfgang Dauner Quintet「The Oimels」

 
JUGEMテーマ:音楽


Wolfgang Dauner Quintet「The Oimels」(1969)

奇妙で悪趣味なジャケが目を引く本作、なんとなく面白そうなのでCDで買いました、というところ… でもこういうジャケこそレコードで買ってみたいですねぇ…多分高いんでしょうけど…

グループ名がQuintetというくらいなので、やはりジャズグループ。このグループを率いるウォルフガング・ダウナーという人物はジャズピアニストのドイツ人だそうで、60年代にはヨーロッパジャズにおいて高い地位を確立していた人物のようです(ちなみに本作のジャケを書いたのもこのダウナーとドラムのRoland Wittich)。しかし、本作に関してはモードもハードバップも(知らん) というほど崩れに崩れた得たいの知れないサウンドになっていて、とりあえずジャズロックとかサイケデリックジャズとかで形容されたりしているようです。

ところが頭の曲をかけてみると、なぜかウェスト・コーストみたいな曲を延々とやってらして、 (ノ∇`)アチャーと思ったのもつかの間、本領発揮は二つ目の曲からで、シタールのちょっとしたイントロから、歌ありボサノヴァ風に展開するという「take off your clothes to feel the setting sun」という曲。実はこれはいわゆるレア・グルーヴと呼ばれDJがアレコレ頑張っていた頃にちょっと知られた曲だそうで、危うく流行り廃りの早い世界で葬り去られるところだったのですが、他のアルバム曲が更に優れていたおかげで今でも本作はちょっとした人気を堅持しているんじゃないかと思います。

どの曲にも言えることですが、ハードバップみたいにテクニックをさらけ出すようなところが一切ないアルバムで、当時で言えば一時代前のオーソドックスなジャズを基調にしているのかもしれません。演奏もノリも派手なところがなく、どこまでも素っ気ない演奏陣の方々…。中東圏風呪術的な4曲目「come on in on in」でハードロックぽくなり、これだけは可視的にダーティな世界を演出。この辺りを聴くとまったくジャズアルバムという感じがしなくなります…。

当時から70年代頭にかけて、ジャズ・ミュージシャンの中にもロックの要素を取り込んだものが幾つかあるようですが、個人的な印象だと、それまでの技巧的な面を捨てる傾向というものが存在する気がします。そんな引き算するだけじゃダメで、今でも評判が高いのはそこにまた別の要素が入り込んだりするようですが…。

このダウナーという人はどう考えたおかげでこんな形になってしまったのかわからないくらい異型で、というのも、音響だとか、変則リズムだとか、そういうのはなくて、平凡な8ビートのリズム中心の中だけでロックぽい演奏していて、それでいてオーソドックスなジャズのコード進行なので、カンタベリーロックのようなものを想像していて自分としてはそのオーソドックスさに拍子抜けしたというわけです。

とはいえ、その淡白さの中で、ちょっとした奇声だとか印象的なエレキギターの音だとかを妙に強調するところに、オーソドックスに潜む陰翳のようなものを表しているような気がして、そんな無機質さで理屈っぽいところもドイツ産に拠るところがあるのかも…

で、ラストナンバーがなんとビートルズ「a day in the life」のカバーで、これまた力が抜けきった演奏。あの何もかもが印象的な人気曲を、素っ気なく、なのに陰の部分が表にしっかり出ているところが面白いカバー。このカバーにダウナーの本作でのテーマが分かりやすく表れているように感じた、というお話でした。

ちなみに、収録時間がめちゃくちゃ短いので、そこでもまた拍子抜けします。




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